アンビエント音楽は、突き詰めるととても奥の深いジャンルです。作り方も自由度が高いため、ここで紹介する作曲法は一例に過ぎないと考えてください。
そもそもアンビエントとは?
アンビエントはイギリスの作曲家が提唱した環境音楽です。身の回りに響く音を音楽として捉え、メロディやコードに縛られない極めて感覚的な音楽を作ることがアンビエントミュージックです。
音楽的知識がなくても作れるジャンルなので、DTM初心者の人も挑戦しやすいと思います。その反面もっともアートな音楽なので、玄人の作家さんでもかなり難しいジャンルとも言えます。
目標を持って作る!
アンビエントにも暗いものや明るいものなどたくさんのサブジャンルがありますが、そういったジャンルに縛られるのではなく、『何の目的で作るのか』を明確にしておくと納得のいくものが作れます。例えば、
・ホラーゲームのBGMとして。(ダークアンビエント)
・作業用のBGMとして。(癒し系)
・風景や心情を表現したい。(アートなアンビエント)
などなど。
具体的なアンビエント作曲のコツ
1.メロディを主張させない。
白玉で長く伸ばしたり、音が途切れ途切れになる様なメロディで主旋律をなくしていきます。たまに風の音が偶然にメロディを奏でたりしますよね?あんな感じを狙うといいと思います。
2.全てにリバーブをかける
PANが音の左右の定位を決めるとすれば、音の前後の定位を決めるのがリバーブです。それぞれのトラックのリバーブを調整して、音に立体感を持たせましょう。アンビエントがエコーがかって聞こえる理由の1つは、こういった手法でリバーブをたくさんかけるためです。
3.環境音を入れる。
目的にあった環境音をたくさん詰め込みます。怖い雰囲気を出したければドアの軋む音や鉄がこすれる音などを。癒し系アンビエントなら鳥のさえずりや川の流れる音などを。
何から作り始めていいかわからない時は、まず目的に合う環境音を入れていくのがおすすめです。いろんな音を入れて何度も聞いているうちに、あるべきメロディが聞こえてきたりします。
4.オートメーションをたくさん書く
音量やPANなど、音をゆっくりと動かすことで感情を表現してみて下さい。アンビエントは普通の曲と違って変化が少ないので、トラックごとに音を動かしてあげることも大切なんです。
急な動きはゆったりした雰囲気を壊してしまうので、徐々に音が動いていくイメージで作るのがおすすめ。逆に突発的に音が左から右へ駆け抜ける様な効果音を入れるのも面白いと思います。
4分33秒の世界
この動画を見て何か音楽を感じますか?
あるピアニストが4分33秒という曲を披露する時、最後まで何も弾かないパフォーマンスを行なったことがあります。
この時、観客は音楽を演奏するものだと思って必死にメロディを探したので、何も演奏していない曲から音楽を感じたそうです。
これは環境音が音楽として成り立つことを証明したことになりますね。
どこにでも音楽はある。
これがアンビエントの真髄なのかもしれないですね。