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ドラムの録音方法と注意点まとめ

 

こんにちは。

自主制作で音楽を作っている人やバンドをやっている人にとって生ドラムの録音は高い壁の様な存在になっています。何故なら、ドラムセットは沢山の打楽器の集合体であるがゆえに録音のために多くの機材が必要となるからです。

ですが、逆に機材の問題さえクリアしてしまえばドラム録音のハードルは一気に低くなります。書道において画数の多い漢字は一見難しそうに見えるが実は画数が多い方が簡単、というアレに近いかもしれません(余談ですが最も録るのが難しいのはボーカルです。機材は少なくて済みますがだからこそ難しい。それも画数を少ない漢字を書くことの難しさに例える事が出来るかもしれませんね)。

今日は個人の手持ち機材でできるドラム録音について書いていきたいと思います。

プロのドラム録音

まずはプロがどの様にしてドラムを録音しているのか知っておきましょう!

CDになっている音源のドラムはレコーディングスタジオで録音されています。そういったレコーディングスタジオには超高級なマイクやプリアンプ、コンプレッサーが大量に常備されており、それら全てを駆使して一流のレコーディングエンジニアが録音をしていきます。マイク一本数十万円、プリアンプ一基数十万円というのは当たり前ですから、これを個人で集めて録音をしようなんていうのは無理だということが分かりますね(笑)

自主制作でのドラム録音

結局金はかかる

プロと同じ方法でドラムを録音しようとするとお金がいくらあっても足りないという話をしましたが、かといって全くお金をかけずにドラムを良い音で録音する方法がある訳でもありません。結局はある程度の出費は必要になります。ただ、ドラム録音に必要な機材にはそこまで特殊なものは無いので、音楽制作を趣味としている人であれば既に持っているものも結構あるはずです。今の手持ちの機材を最大限活かせば、数万円程度の出費(これを高いととるか安いととるか…)でそれなりのドラム録音が出来る筈です。

ドラムの音としての最低限のライン

まずは音源のドラムの音として使える、最低限のクオリティーについて書いていきます。

リハーサルスタジオ等でドラムにマイクを向けて音を録音してみた事がある人であれば分かるかもしれませんが、一本のマイクでドラムを録るとハイハットやスネアドラムやバスドラムの音がごちゃ混ぜになって聴こえてきて、かなり音の輪郭がボヤッとした音になってしまうと思います。

プロの音源ではもっと楽器の音一つ一つがくっきりはっきりと聴こえますよね。これは、スネアドラムやバスドラムといった楽器一つ一つに対してマイクを至近距離にセッティングしているからです(至近距離にセッティングしたマイクをオンマイクといい、少し離れた位置に遠目にセッティングするマイクをオフマイクといいます。オフマイクも勿論必要になります)。マイクを10本以上使うこともザラにあります(ちなみにマイクが多ければ多いほどいいと言う訳ではないのでご安心を)。

ですが個人でマイクをそんなにたくさん揃えるのは、安いマイクであっても大変ですよね。ですので、今回はドラムの音をそれっぽく録音する事ができる最低のラインをお教えします!

 

ずばり、バスドラム+スネア+オフマイク(コンデンサーマイクです。

つまり、バスドラム専用のマイクをひとつ、スネアドラム専用のマイクをひとつ、そして少し遠目にドラムセット全体の音を録るためのオフマイク(コンデンサーマイク)の3つのマイクがあれば、ドラムの音がかなりそれっぽく録音する事ができます。

シンバルやハイハット、タムの音はオフマイクのコンデンサーマイクでまかないます。ドラムで最も重要なのはハット、キック、スネアの三点セットです。タムの音がハッキリと録音できないのが難点ですが、優先順位からいくとこうなります。贅沢は言えません。

まずは手持ちの機材を確認しよう

バスドラム+スネア+オフマイク(コンデンサーマイクの3本のマイクは必須になります。バスドラムの音はバスドラム専用のマイクでないとまともに録れないので、これは諦めて買いましょう。一応バスドラムの他にベースやタムの音も録れるので一石三鳥です。スネアドラム用のマイクは適当なダイナミックマイクで良いでしょう。シュアーのSM57が理想ですが、ゴッパチでも何でもいいです。オフマイク用のコンデンサーマイクも特に専用のものは必要ないので、もし持っているものがあればそれで充分でしょう。

 

 

 

 

SHURE ダイナミックマイク SM57-LCE 【国内正規品】

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マイクだけではなく、勿論レコーダーも必要になります。何をレコーダーに使うかによって何が必要になってくるか変わってくるので、個別に書いていきたいと思います。今自分が持っているものに出来るだけ近いもので始めるのが一番安上がりです。

 

DAWをレコーダーとして使う←クオリティ重視

DAWをレコーダーとして使う場合には、ノートパソコンとソフトが必要なのは当然として、3本のマイクの音を同時に録音できるオーディオインターフェースが必要になります。3チャンネル入力のオーディオインターフェースというものは無いので、4チャンネル入力が可能なオーディオインターフェースが必要になりますね。

ついでに、どの録音方法にしたとしても、最終的にドラムの音をしっかりと編集するためにはDAWが必須になってくるので、音源のクオリティを重視する場合には結果的にはこの方法が一番安上がりと言えます。ノートパソコンを持ち運ぶリスクや手間を惜しまないのであれば、これがオススメです。

ついでに、4チャンネルのオーディオインターフェースを使うとすれば、上記のマイク3本を使ったとしてもチャンネルが1つ余ります。予算に余力があれば、同じコンデンサーマイクを2本揃えてオフマイクをステレオにするとか、タム用のマイクを追加することもできます。

 

TASCAM オーディオ/MIDIインターフェース US-4X4-SN

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ローランド USBオーディオ・インターフェース Rubix44

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MTRをレコーダーとして使う←予算重視

楽器の録音用にMTRを持っている人も少なく無いと思います。最近は8チャンネルマイクプリを搭載したMTRが3万円程度で売っていたりするので(これってめちゃくちゃ安い!!)、これを持っているなら上記のマイク3本を揃えるだけでドラム録音が出来ます。この場合、そのままギターやベース、ボーカルの録音もできますので、最もお金がかからずに、なおかつ楽な方法と言えます。最終的に出来上がる音源のクオリティに関しては、内臓のエフェクトやMTR本体でどこまで出来るかに依存するところがおおきいのでハッキリ言って未知数です。

 

 

ZOOM ズーム マルチトラックレコーダー 8トラック同時録音 16トラック同時再生 R16

ZOOM ズーム マルチトラックレコーダー 8トラック同時録音 16トラック同時再生 R16

 

 

ハンディレコーダーをレコーダーとして使う←手軽さ重視

最近のハンディレコーダーのほとんどは本体にステレオのコンデンサーマイクが搭載されています。そして中にはその本体内蔵のステレオコンデンサーマイクの他にマイクインプットが搭載されている機種があります。コンデンサーマイクは本体に内蔵されているため、この場合だけ用意するマイクはバスドラム用とスネア用の2本だけで済みます。ただハンディレコーダーに録音した音を細かく編集できる機能が付いていることは無いので、録音したデータは家に帰ってパソコンに吸い出してからDAWで編集する事が前提になります。

このやり方の最大の利点は録音の際に持ち出す機材が少なくて楽だという点なので、DAWは家のパソコンで使っているが、それを外に持ち出すのは手間だという人にオススメの方法です。

 

ZOOM ズーム リニアPCM/ICハンディレコーダー  H5

ZOOM ズーム リニアPCM/ICハンディレコーダー H5

 

 

 

 

TASCAM 24bit/96kHz対応リニアPCMレコーダー DR-40VERSION2

TASCAM 24bit/96kHz対応リニアPCMレコーダー DR-40VERSION2

 

 

 

録音の際の注意点

ドラムの音量バランスは大事

時々ドラマーが「〇〇の音は小さめで、〇〇の音は大きめで。」という様なことを言ってくる事があります。勿論、複数のマイクを立てているのである程度の調節は可能なのですが、基本的には録音した際の演奏の音量バランスをひっくり返す様な大幅な音量調節は出来ません。

例え各楽器に個別にマイクをセッティングしていても、各楽器のマイクは狙った音以外の音も確実に拾います(音被り)。例えばスネアの音を大きめにしてハイハットの音を小さめに音量調節したかったとしても、元々の演奏の段階でハイハットの音が大きすぎた場合にはスネアのマイクにもハイハットの音が大きく入るため、スネアの音を大きくするとハイハットの音も大きくなるという事が起こるわけです。

 

特に個人でドラムを録音する場合には上記の様に最低限のマイクの本数で録音をする事が多いと思いますので、たくさんのマイクを使った場合よりも一層、元々の演奏の音量バランスが音源のクオリティに直接関わってきます。

ドラムがいくら上手い人でも、レコーディングを経験した人でなければ各楽器の音量バランスにまで気を配っている人は少ないと思いますので、そこには気をつけたいです。

 

ちなみに、大抵のドラマーはシンバルやハイハットなどの金物の音が大きく、バスドラムやスネア、タムなどの革物の音が小さいです。金物の音を抑えめに、そして革物の楽器をよりしっかりと叩く様に意識できると良いです。

音被りと位相ズレが少ないマイクセッティングを目指す

狙った楽器の音以外の音が入らない様にマイクをセッティングすると音被りを軽減できます。狙った楽器の音の発生源になるべく近づけて、尚且つ他の楽器の音が入りづらい場所を探しましょう。

また位相のズレに関しても気を配っていきたいところです。細かい理屈は割愛しますが、マイクの向きはなるべく揃えてセッティングしないと位相ズレというものが起こり、音の輪郭がぼやけてたり録音した音同士が相殺しあって音量が小さくなってしまったりします。マイク同士が向かい合う様なセッティングは避け、全てのマイクが同じ様な向きになる様になるべく心がけましょう(セッティング上どうしても角度がつく事はあるのでそこまで几帳面になる必要はないです)。

 

位相の問題はマイクの数が増えれば増えるほど難しくなってきます。マイクの数が多ければ多いほど良い訳ではないというのにはこういった理由もあります。下手にマイクの数を増やすと全体の音像がぼやけがちです。その点では、少ないマイク本数でドラムを録音することによる音質的なメリットも無くはないと言えます。

録音レベルはめちゃくちゃ大事

当然のことですが、録音レベルの設定はしっかりとやりましょう。各楽器の音をなるべく大きな音で録音します。

MTRやハンディレコーダーで録音する場合には、画面ではピークランプが付いていても実際にはもう少し音量を上げられるパターンもありますので、その辺は色々と試しながらやってみると良いと思います。画面では各チャンネル真っ赤になっていても音は歪んでいないということもあるので、僕は実際に音が歪むまで音量をどんどん上げていってみたりもします。そんなことをすると機材が壊れるということも聴いた事があるので、自己責任でやってもらいたいところではありますが(笑)僕のレコーダーは壊れたことはありません。まあそのくらい、録音レベルの調節は大事だということです!

 

まとめ

長くなりましたが、個人でドラムの録音をするにはどうすれば良いか、色々な方法を書いてきました。

ドラムを個人で録音しようとすると確かに手間や労力はかかりますが、それだけの価値は間違いなくあります!自分の手持ちの機材と相談して、現状で最もやりやすそうな方法を選んで実践してみてはいかがでしょうか。

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