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ドラムの録音やミックスの小技まとめ

 

takuroq.hatenablog.com

 

こんにちは。

前回の記事ではドラムの録音に必要な機材の組み合わせや、ちょっとした注意点などを書いていきました。今回はそこで書ききれなかったドラム録音やミックスにまつわる小技などを箇条書きで書いていきたいと思います。前回の記事の基本的な情報と、今回の記事の小技を網羅すればもう1人でドラム録音ができるくらいの知識量にはなっているはずです!

 

録音編

まずは実際に録音をしにスタジオに出向いた際に役に立つ小技を紹介していきます!

 

スネアドラムのマイキング

スネアドラム用に設置するマイクの位置取りには最初は戸惑ってしまうこともあるかと思います。ありのままのスネアの音を残したいという視点で言えば、基本的にはスネアの音が大きく聴こえて、他の音があまり入り込まなそうな場所であればどこでも大丈夫なのですが、ここではもう少しレベルを上げて、狙った通りの音でスネアを録れるマイキングをご紹介いたします!

 

スネアの録音には基本的にマイクが2本必要

見出しの通りなのですが、基本的にスネアドラムの録音にはマイクを2本使います。スネアの打面側(ヘッド側)の音を録るマイクと、スネアの裏側(サイド側)の音を録るマイクです。

スネアサイド側のマイクはスネアドラムの裏側に張ってあるスナッピーという響き線のザラザラとした音を録る補助的なマイクなので、スネアの裏面に対して垂直にスナッピーに近づけてセッティングします。これ以外のセッティングで試してみたことは無いのでこれしか紹介できませんが、これはあくまで補助的なマイクでヘッド側のマイクの音にわずかに混ぜて使う程度なのでそこまでこだわる必要はないかと思います。ちなみに僕はやったことはありませんが、スネアサイドの音はコンデンサーマイクで録ることもあるようです。

 

ヘッド側のマイクのセッティングは大きく分けて2パターンあります。打面の中央付近を狙うパターンと打面のリム寄りを狙うパターンです。特に狙いがなければ打面中央あたりに向けてセッティングするのがオススメです。輪郭がはっきりしていて尚且つ硬すぎない質感のヘッドショットの音が綺麗に録ることができます。

逆にアタックが強く『カーン』というリムの硬い余韻をしっかりと録りたい場合には、マイクの向きを中央から少しずらしてリム側寄りを狙う録り方がオススメです。

 

マイク1本で録る場合

マイク1本だけでスネアを取る場合のセッティングは基本的に2本使う場合のヘッド側のセッティングに準じますが、裏側のマイクが無い分ヘッド側の音だけでなくスナッピーから響く音の方にも意識しながらセッティングしたいところです。

具体的には、打面に極力近づけてセッティングしていたヘッド側のマイクの音を、少しだけ遠目にしてスネアドラム全体を狙えるような位置(少し離して斜め上あたりからスネア全体を狙える位置)にセッティングします。

遠目にドラム全体を録るアンビエンスマイクを立てているのであれば、スネア全体の音はそちらで賄って、スネアのマイクは打面側だけを狙う、というのもアリです。その場合はミックス時にアンビエンスマイクの音を少し上げる形になるので、部屋の空気感(=部屋鳴り=ルームリバーブ)が強めに出た、生々しいドラムサウンドに仕上がります。タイトなドラムサウンドにしたい場合には向かないかもしれませんね(打面のアタック音だけパっと鳴らすようなサウンドならイケる。でも個人的にはそれだとスネアのザラザラ感が足りない気がしなくも無い)。

 

ついでに…

スネアサイド側にマイクを立てた場合には、どうしてもヘッド側のマイクと向かい合わせでセッティングをしなければならなくなります。マイクを向かい合わせた状態で録った2つの音を同時に鳴らすと正位相と逆位相の音がぶつかり合って干渉してしまい、音が変に聴こえたり(酷いと軽くフェイザーが掛かったような音に)音量が下がったりしまいます。

そういった場合にはスネアサイド側のマイクの位相を逆にして録音する必要がありますが、1つ1つのチャンネルにアナログのプリアンプを使って録音しているならともかく(プリアンプにはフェイズスイッチというものが付いていて任意のチャンネルだけ逆位相で録音することができます)、個人でそのような環境で録音ができる方は少ないと思います。そんな時には、ひとまずスネアサイドの音もそのまま録音して、録音後にどうにかしてスネアサイドのマイクだけ逆位相にすれば問題ありません。録った後に加工するというと音質が劣化してしまいそうな雰囲気がありますが、位相を逆にするだけなら音質には何も影響はありませんのでご安心を。

 

DAWであれば各トラックには必ずフェイズスイッチが付いていますので、スネアサイドのマイクの音だけ逆位相にするのを忘れないようにしましょう!!

 

スネアのミュートの小技

スネアドラムの不必要な余韻を抑えるためのミュートは色々と売られていますが、正直そんなものを買う必要はないと思います。

僕が今までやった中で最も効果があったのは、養生テープを蛇腹状にしてスネアのヘッドに貼り付けるというもの。プロのドラマーの方に教えてもらったのですが、これが本当に凄い。余韻の音が「パイーーーン!!」が「パィン…」くらいになります(笑)ミュートの強さも養生テープの長さで調節できますので、ちょっとだけ余韻を短くしたい場合でも使えます。

 

ちなみに、スネアの余韻の音は録った後にイコライザーで小さくすることもできますがその場合にはスネア全体の音も劣化するので、最初から余韻が不必要であることが分かっているのであればミュートを使ってスネアを録った方が確実に良い音(元の音に近い音)で録音することができます。

 

ドラムのミックスの時に使える小技

ここではスタジオで録音したドラムの音を持ち帰ってDAWミックスをする際の小技をご紹介いたします。

 

ゲートを活用しよう!

ドラムのミックスにおいてゲートは無くてはならないプラグインです。特に各楽器にセッティングしたマイクにはかなりの確率で使うプラグインです。ゲートとは、設定した音量以上の音は普通に鳴らして設定した音量以下の時には音を鳴らさなくする(ゲートを閉じる)エフェクトです。

例えばタムにマイクをセッティングした場合には、タムはフィルインや一部のリズムパターンの時にしか使われないにも関わらず常にタムのマイクがオンになっていると、タムのマイクに被った他の楽器の音が他のマイクの音と干渉して全体の音像がぼやけてしまうといった悪影響が起こりかねません。そこでタムのマイクの音にゲートを挿しておけばタムが鳴った時にだけマイクの音が音になり、それ以外の時にはミュートができるというわけです。

また、スネアやキックの音に使うことで余韻の音の長さを調整することもできます。これを活用すれば部屋鳴りを全面に押し出した生々しいドラムサウンドとは正反対の、歯切れの良いタイトなドラムサウンドを作ることができます。

 

コンプで音のアタックを潰す

見出しのようにコンプで音を潰すなんていうと、楽器をやっている人からすればなんと無くそれは悪い事の様に思えてしまうかもしれませんね。ですが、ドラムセットの様に果てしなくダイナミックレンジの広い楽器の音を限られたデジタルのデータの中で最大限良く聞こえる様にするためには、それは仕方のない事なのです。ドラムの音のアタックを潰さずにミックスをしてしまうと、そのアタックのダイナミックレンジを確保するために他の楽器やパートの音量を小さくしなければならず、結果的に音圧感のない2ミックスに仕上がってしまいます。

 

録ったドラムの音をそのまま音量調節して聴くと、当たり前ではありますがアタックがかなりキツイ音になっているかと思います。スネアやキックのマイクの音にコンプレッサーをかける時には、「ちょっと角が取れ過ぎかな?」と思えるくらいキツめにアタックを潰して柔らかい音にした方が、後で他のパートと組み合わせた時に音圧を出しやすいです。

 

ドラムサウンドの方向性を握るアンビエンスマイク

ドラムのミックスにおいて、少し遠目にセッティングしたコンデンサーマイクでドラム全体の音を録るアンビエンスマイクの音量はかなり重要です。

アンビエンスマイクの音量が大きければ大きいほど、空気感(=部屋鳴り=ルームリバーブ)を全面に押し出した生々しいドラムサウンドになり、逆にアンビエンスマイクの音量が小さいと歯切れのいいタイトなドラムサウンドになっていきます。

 

僕はいつもアンビエンスマイクには少し強めにイコライザーでローをカットして(勿論、コンデンサーマイクにローカットスイッチが付いている場合にはそちらを使って録音します)、ハット、キック、スネアの3本のマイクの音作りと音量調節が済んだ後に、音量0の状態から少しずつ音量を上げていき丁度良い音量を探っていきます。

イメージとしてはリバーブが全くかかっていない三点(ハット、キック、スネア)の音に少しづつルームリバーブを足していくイメージです。フェーダーを上げれば上げるほど空気感が足されていくのが分かって、個人的にはドラムのミックスをやっていて最も楽しい瞬間でもあります(笑)

 

バスを活用しよう

DAWを使い始めたばかりだとバスというものの使い方が良く分からないと思いますが、これはミックスをする上で非常に大事なので活用しましょう!

バスのことは各トラックの音をまとめて管理するためのものだと思ってください。例えば、一通りドラムの音をミックスしたとして、ミックスしたドラム全体の音にコンプレッサーとリミッターをかけたい場合に、マスタートラック(全ての音の行き先)にコンプレッサーをかけてしまうとドラム以外の全ての音にもコンプが掛かってしまいます。その場合には、ドラムの各トラックの出力先を1つのステレオバスに指定して、そのステレオバスにコンプをかければドラムの音だけにコンプをかける事ができます。

複数のトラックを1つにまとめてエフェクトをかけるというだけでなく、複数のトラックの音量を同時に調節出来るというメリットもあります。これに関してはDAWでトラックの音量を連動させる機能(トラックのグルーピング)があるので何もバスでそれをやることはないのですが、僕はバスでやった方が分かりやすくて好きですね。それにまとめてグルーピングしておく様なトラック同士はまとめてエフェクトをかける可能性も高いので、最初からバスを作ってしまった方が早かったりします。

 

バスはドラムのミックスだけでなく、様々な場面で使いまくるものなので、それは後々しっかりと記事にしたいと思います。

 

まとめ

とりあえず今思いつく限りではこのくらいでしょうか。疲れてきたので今日はこの辺にしておきます(笑)また何か思いついたら記事にします!それでは!

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