フルオーケストラのアレンジはポップスのストリングスとは全く異なる打ち込み方をします。オーケストラ特有のテクニックなどもあるので、簡単かつ即戦力になるオーケストラアレンジの打ち込み方、コツについてお話します。
この記事を読めば一通りオーケストラのアレンジができるようになると思いますので、ぜひ参考にしてみてください。
フルオーケストラの簡単な作り方
本格的なクラシックオーケストラは和声を使いますが、コードを使った作曲方法でも作れます。
この記事では主にコードを駆使した作り方を考えてみます。この方が絶対に楽です。
まずは主要なストリングスを使ってコード進行を鳴らしてみましょう。
【STEP1】ストリングスでコードを組み立てる
ストリングスはそれぞれ楽器ごとに音域が違うため役割を割り振っていきます。
コントラバス
1番低い音。コードのルート音を弾きます。
チェロ
2番目に低い音。コードでは3度、5度をコントラバスに重ねると綺麗に馴染みます。(音域が広いためメロディを弾くことも!)
ビオラ
バイオリンより少し低い音域です。コントラバス、チェロ同様に1オクターブ上のコードトーンを鳴らすとコードにボリュームが出ます。バイオリンと一緒に主旋律をユニゾンして弾くのもありです。
バイオリン
ストリングスの中では1番高い音域をならせます。主にメロディを奏でることに使います。
この4つの弦楽器を使って好きなコード進行を打ち込んでメロディを付けてみましょう。これだけでかなりリアルなオーケストラになります。
コードを綺麗に混ぜるコツですが、なるべくクローズボイシングを行なってコードの前後のつながりを自然にして下さい。コントラバスに関してはベース音になるため意識しないで大丈夫です。
【STEP2】金管、木管楽器を使って曲に厚みを出す
ストリングスで土台が作れたら、金管楽器、木管楽器を使って味付けをしていきます。
チューバ
金管のベース音です。コントラバスとユニゾンすることで太いベース音が得られます。
トロンボーン
2番目に低い金管楽器です。コードトーンを鳴らすのに適していますが、チェロとユニゾンしないように作ると豊かな音色を得られます。
トランペット
トランペットはメロディを吹くことが多いです。バイオリンが主旋を弾いているときは無理にユニゾンせず鳴らさなくてもいいと思います。力強い効果を得たい時にメロディを吹いたりスタッカートで連続して鳴らすことで迫力をつけたりできます。
ホルン
こちらもコードトーンと混ぜても構いませんが、甘い音がするので静かな時にメロディを吹くと優しい印象を得ることができます。強く吹けば勇ましい音に変わるので、この時にバイオリンとユニゾンしてメロディを奏でると堂々とした勇ましい雰囲気が作れます!
フルート
フルートは高い音域のコードトーンを支えるのにかかせません。バイオリンと異なる副旋律を吹くのもおすすめです。
クラリネット
クラリネットはフルートより音域が低いですが、かなり特徴的な音がするのでコードトーンに盛り込んでも埋れません。音がまろやかになるので隠し味として入れておくとリアルなオーケストレーションができます。
【STEP3】打楽器を加えて壮大に!
最後に打楽器を加えて疾走感、迫力、壮大さを表現して完成です。
シンバル
だいたい曲の頭に入れます。バンドのドラムのように何度も鳴らすとダイナミクスがなくなってしまうので、多くても8小節に1回ぐらいでいいと思います。
ティンパニ
ティンパニはアクセントになる部分で叩いて行きます。盛り上がりたいときはロールを入れて高揚感を出します。ちなみにティンパニは音の抜けがあまり良くないので埋れがちです。PANをしっかり振るなど対策が必要です。
スネア
スネアは僕の場合がっつり16部音譜で叩きます。アクセントをしっかりつけたいので強弱をかなり大げさにつけます。
大太鼓(和太鼓)
意外にも日本の大太鼓はオーケストラの打楽器に必須です。ドラムのキック部分はティンパニだと思われがちですが、ティンパニは音程が意外と高いのでキックの代わりにはなりません。
オーケストラのキックは大太鼓です。1小節に1発ぐらいの頻度で入れるだけでものすごく迫力が出ます。
フルオーケストラのMIX(ミキシング)について
次にオーケストラのMIXに関してお話します。フルオーケストラはMIXに関しても他のジャンルとは大きく異なる方法を使います。
イコライザー
通常ミキシングをする時はイコライザーを使って音の棲み分けを行いますが、オーケストラの場合音質を変えてしまうとリアルな音ではなくなってしまうためNGです。
その代わりオーケストラには他のジャンルとは比べ物にならないぐらいたくさんの音色があります。
これらの音を足したり引いたりすることで自分が行いたい2MIXに仕上げていきます。
例えば、、、
もう少しLOWを持ち上げたい!!
↓
【X】アウトプットのEQでLowを持ち上げる。
【O】ベースにチューバを足してLowを持ち上げる。
こんな具合です。
コンプレッサー
これもかけすぎに注意です!オーケストラはダイナミクスが命なので音を均一にするコンプレッサーは基本的にあまり好ましくありません。逆にボリュームのオートメーションをたくさん書いて大げさに音の強弱をつけるようにしましょう。
PANの振り方
PANは人によりますが大げさに振るほどレンジが広がるのでおすすめです。オーケストラのルールとして、左側に行くほど低い音、右側に行くほど高い音になるというルールがあります。
大げさにいえば、
コントラバスは左に60、チェロは左に30、ビオラは右に30、バイオリンは右に60といった具合です。
ただし、近年のオーケストレーションではメロディを真ん中に置いたり、(上の例ではバイオリンが真ん中にくる)ポップスなどと同じような配置にするケースもあります。
どちらでやってもリアルなオーケストレーションが行えるので好みで構いません。ただし、どちらにしてもやはりPANの振り方も大げさにすることを心がけましょう!
オススメのオーケストラプラグイン
最後にコストパフォーマンスの良いオーケストラ音源を1つご紹介します。
Symphonic Orchestra Gold
EastWest Symphonic Orchestra Gold Complete オーケストラ音源 【国内正規品】
- 出版社/メーカー: EastWest
- 発売日: 2008/10/24
- メディア: エレクトロニクス
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EASTWESTから出ているオーケストラ音源です。僕はずっとこれを使っているんですが安いオーケストラプラグインでは最強だと思っています。
メリット
音がびっくりするぐらいリアルです。DAWに元々入っているソフトウェア音源のMIDIデータをシンフォニックオーケストラに変えただけでものすごくカッコいいトラックに変わります。ハリウッド系にかかせないコントラバスのスラップ音や悲鳴をあげるようなバイオリンの奏法なども収録されてるので色々なことが試せます。また、PANが音源を立ち上げるだけで勝手に割り振られているのでMIXの手間を省いてリアルな配置にすることができます。
デメリット
ホール特有の残響感も一緒に収録されているため、ポップスなどのストリングスには不向きです。どうしても使いたい場合はADSLを弄って好みの音に変えることもできます。
検討されている方はなるべく国内の正規品にした方が間違いがありません。
EastWest Symphonic Orchestra Gold Complete オーケストラ音源 【国内正規品】