ボーカルのミックスは本当に難しくて苦労します。人によって声の性質が異なるため、毎回正解を探しにいかないとうまくいきません。
この記事では、ボーカルミックスのやり方、コツをご紹介します。
よく「〜Hzをカットします」といった具体的な数値を書いてくれる記事を見かけますが、録音環境や声の性質でカットする帯域なんて全然違ってしまうので、この記事では「どういった処理をすればこういう音になる」という説明を中心に解説してみたいと思います。
声の輪郭をはっきりさせる方法
コンプをきつくかける
コンプレッサーをきつめにかけることで輪郭がはっきりしてきます。コンプレッサーは音の粒を揃えるだけではなく、音質も変わるので思い切ってきつめにかけて聴き比べてみてください。
※余談ですが、僕はボカロのミックスはコンプでバッキバキに潰します。なぜか一番綺麗に聞こえるので!
ショートディレイで音を太くする
また、ショートディレイを使って音を太くする方法もあります。ディレイの感覚をかなり短くすればダブリングのように声を太くすることができます。太くなることでボーカルが他の楽器隊より前に出るので結果として輪郭がはっきりします。
透明感のあるボーカルにする方法
EQで高域を上げる
EQでhiを少し上げます。上げながらクリアに聞こえる場所を探すイメージです。女性と男性で狙う値がだいぶ変わるのでぜひ試してみてください。ミックスのスキルが上がると思います。この際に歯擦音が増幅する恐れがあるのでディエッサーはEQのあとに指します。
ウィスパーボイスを重ねる
また、空気感をリアルにするためにささやき声(ウィスパー)で歌ったものを重ね録りする方法もあります。吐息だけせかすかに歌うイメージです。
例えばこちら↓
冒頭で小さな声が先行して聞こえます。ウィスパーボイスではないですが実音を深めのリバーブでぼやかせて、よく聞かないと聞こえないレベルで前に出しています。
声に透明感が出ています。
それにしてもディレイの逆とも取れるこの処理は面白いですね。
オケにきれいに混ぜる方法
同じリバーブで統一感を出す
オケで使っているリバーブと同じものをボーカルにかけるとけっこう馴染みます。ただし、かければかけるほど音像がぼやけていきます!かけすぎには注意が必要です。
リバーブの種類ですが、プレートやスプリングは音色を変える効果もあるので、箱もののリバーブをかけて統一感を出すのがおすすめです。
EQの住み分けでボーカルの居場所を作る
また、オケ作りの時点でEQの住み分けにより、ある程度ボーカルの空きを作ることも大切です。ボーカルの帯域で空いている部分がない場合、単純に音が混ざりにくくなります。また、音圧を稼げなくなるデメリットもあるので、こちらも注意が必要です。
正解かどうかはわかりませんが、僕はEQの住み分け処理は曲を作りながら行っています。トラックが増えるごとに処理をしていった方が聞き取りやすいからです。