森乃と申します。作詞や作編曲などのお仕事をさせて頂いております。
みなさんは作詞をする時に自分なりのルールってありますか?
以前の私は完全に感覚で作っていました。その結果なんだかパッとしないものができました。
今現在は以前よりクオリティーが上がっていると思います。
それは、ある程度自分なりのルールを守って作詞しているからです。
今、私が考える作詞のルールをまとめていきます。
作詞における5つのルール
私が考える5つのルールは以下です。
1. キラーワードを入れる
2. メロディーと歌詞を合わせる
3. リズム感を出す
4. 情景描写を入れる
5. やりきる
これだけ出されてもよくわからないと思うので、1つずつ詳しく書いていきます。
キラーワードを入れる
こう呼ぶのが正しいかよくわかりませんが、曲名になるようなワードのことです。
曲名に使われたり、サビの頭、サビの終わりなどで使われることが多いです。
このワードが入っているか入っていないかで曲の印象は大きく変わります。
さらに人の目を引く、耳に留まるような強いワードであるかも求められます。
例を挙げると、
- だから僕は音楽を辞めた
- 僕が死のうと思ったのは
- フライングゲット
- 女々しくて
- 渚のシンドバッド
- ペッパー警部
- 残酷な天使のテーゼ
- 世界が終わるまでは…
- ここでキスして。
- 空も飛べるはず
- ロビンソン
- 上を向いて歩こう
など。
どれもインパクトがありますよね。「どんな曲なんだろう!」「聴いてみたいな」と思ってしまう力があります。
ここでキーワードを分析してみると、2つのタイプに分けられることがわかりました。
文章タイプとそれ以外のタイプです。
文章タイプ
- だから僕は音楽を辞めた
- 僕が死のうと思ったのは
- 女々しくて
- 世界が終わるまでは…
- ここでキスして。
- 空も飛べるはず
- 上を向いて歩こう
それ以外タイプ
- フライングゲット
- 渚のシンドバッド
- ペッパー警部
- 残酷な天使のテーゼ
- ロビンソン
文章になっているかそうでないかなんですが
文章タイプがメッセージ性の強さで興味を引くのに対し、それ以外のタイプは響きの良いワードや一見意味の分からないようなワードが多く見られミステリアスさを打ち出し「知りたい!」という欲求を引き出している気がします。
インパクトのあるキラーワードを作るコツ
文章タイプ
- 興味を引く言葉を並べる(続きや内容が気になるような)
- 共感を生む言葉を並べる
- 音の響きはそこまで意識しなくて良い
ちょっと音楽とずれますが、映画のキャッチコピーみたいなイメージです。
その他タイプ
- 響きの良さを意識する
- ミステリアスなワードを使う
- 言葉の組み合わせでインパクトを出す
- カタカナを使う
カタカナのワードは響きも良く、インパクトがあるのでおすすめです。
メロディーと歌詞を合わせる
明るいメロディーなのに歌詞がネガティブだと違和感を感じませんか?
切ないメロディーには切ない歌詞を、明るいメロディーにはポジティブな歌詞を入れた方が相乗効果でより聴き手に届きやすくなると思っています。
なので、私はメロディーに寄り添うような歌詞を作ることを心がけています。
リズム感を出す
歌わずに音読するだけでリズム感のある文章ってありますよね。特に盛り上げ系やロック系の楽曲については聴いていて楽しいリズムであることを意識します。
例1
同じ言葉の繰り返し
リンダリンダリンダリンダリンダ
リンダリンダリンダリンダリンダ
…
歌詞の響きの良さとメロディーのマッチングが素晴らしいです。
やっぱり名曲ですね。響きの良いワードを繰り返すことで勢いとリズム感のある歌詞になります。
例2
同じワードの繰り返しと、韻を踏んだ時のリズム感の楽しさ
たまご たまご たまごっち
すなわち トモダチ
たまご たまご たまごっち
ビッチリバッチリベリマッチ
たまご たまご たまごっち
まいにち ダイキチ
…
これ以降もすごく好きですが、今回はここまでに。
同じワードの繰り返しと、韻を踏んだ時のリズム感の楽しさが感じられる歌詞です。
韻を踏む → すなわち トモダチ + たまごっち の「ち」にもかかっている 等
例3
響きの良い言葉をたくさん入れた時の勢い
さあ 眠眠打破
昼夜逆転 VOX AC30W
テレキャスター背負ったサブカルボーイが
バンド仲間にやっほー アルバイトはネクラモード
対バンにはATフィールド
“人見知り”宣言で逃げる気か BOY
…
音読しただけでもうリズムが出来上がっている、響きの良いワードがとにかく詰め込まれています。
カタカナ、四文字熟語、英語、インパクトのある文章、響きの良いワード、サビでは言葉の部分的な繰り返しを使うなど本当に歌詞だけ見ていても楽しい楽曲です。
リズム感を出すコツ
- 繰り返し(例 リンダリンダ)
- 部分的な繰り返し(例 たまご たまご たまごっち)
- 日本語の間に英語を入れる(例 逃げる気か BOY)
- 四文字熟語(例 昼夜逆転)
- カタカナ言葉(例 テレキャスター)
情景描写を入れる
必ず入っていなければいけないものではないのですが、鮮やかな情景描写があると
より世界観に入り込んで楽曲を聴けるので歌詞としての深みが出ると考えています。
情景描写のコツについてはこちらの記事を読んでみてください。
やりきる
ここへ来てルールであるようでルールでないようなことを書きますが、自分が決めたことをやりきるということです。
例えば「メロディーと歌詞の融合」と書きましたが、全然メロディーとマッチしていない歌詞が面白いかもしれないし、変なところで歌詞が切れる、響きの良くない長めのワードを繰り返したり、極端に字数が少ないのが面白いかもしれない。中途半端で終わるよりもとにかく思い切ってやりきってみると良さが出たりします。
なので、ルールを気にせず自分がやってみたいと感じたことをやりきりましょう!
以上が今私が考える作詞における5つのルールでした。
ありがとうございました。
▼作詞についての過去記事はこちら▼
【作詞講座その2】作詞における「情景描写」の書き方と「リアルな情景描写」のコツ
作詞のコツと初心者が陥りがちな『やってはいけないNGパターン』
名曲に学ぶ歌詞の作り方<泣けるバラード編>名曲から逆算して作詞のコツを解説