こんにちは!
本日は1番難しいと言われるボーカルのミックスの流れについて簡単にシェアしたいと思います。
特に歌ってみたをやってる方はミックス自体に苦手意識が強いことも多いと思います。
素人の方はこの記事をみながら実際にミックスをしてみて『どう変わったか?』を聞き分けてみて下さい。
ミックスはハマるととっても楽しいです!それでは順序立てて解説していきます。
(*ミキシングは人によって個性が分かれるため必ずしも正解があるわけではありません。あくまで僕のやり方なので、参考にしていただければと思います。)
1.ピッチ補正を行う
どんなに歌が上手い人でも音程が多少ズレてしまいます。そういったズレを修正するのがピッチ補正です。
宇多田ヒカルでもピッチ補正はやってます!
やり方はDAWやプラグインによって異なるので省きますが、細かくズレたピッチを1フレーズずつ直していく地味で孤独でめんどくさくてストレスフルな作業だと思って下さい。
また、ピッチ補正を過度にかけることによって、ケロケロボイスにしたりすることもできます。急激な音程の変化によってロボットのような音声にする技法です。
この動画の最初で歌っている効果です。
ここでピッチ補正のコツですが、ケロケロボイスを狙っていない限り、ピッチ補正のやりすぎに注意しましょう。
実際にフレーズをループさせて聴きながら自然な範囲で音程を整えるようにして下さい。
あまりにピッチがズレている場合は歌い直す方がいいと思います。
ちなみに僕は地下アイドルの女の子のピッチ補正で死ぬ思いをしたことがあります。
2.EQでローをカット
イコライザーを使って低域をカットします。50〜60hzあたりの低域はボーカルにはほとんど必要がないため、バッサリカットしてしまいます。
こうすることで音質が少しクリアになりますし、次に行うコンプでの底上げで不要な音をブーストしてしまうデメリットがなくなります。
3.音量を調節する
極端な例ですが、Aメロでささやくように歌い、サビで思い切り声を張り上げるような曲の場合、音量の差がすごく出てしまいます。
こういった音量差を均一にするために、ボリュームのオートメーションを使って
音量を整えていきます。
小さな音は大きく、大きな音は小さくするわけですが、こちらもピッチ補正と同様やりすぎないように注意しましょう。
全てが同じ音量になるようにオートメーションを描くとダイナミクスが失われて迫力のない歌声になってしまいます。
あくまで自然なミックスを心がけます。そしてこの作業も地味です。
4.ディエッサーで歯擦音をカット
忘れがちなのがディエッサーです。『さしすせそ』の単語を発した時に、高い帯域の音が混じってしまい耳障りになります。その音をカットしてくれるのがディエッサーです。
特に海外は歯擦音がよく出るのでだいたいのエンジニアが使ってるそうです。日本語だとそんなに気にならないケースもありますが、静かなバラードなどはこの音が目立つのでディエッサーを刺しておきます。
5.コンプレッサーで底上げを!
コンプレッサーは大きな音を潰すプラグインです。こちらもボリュームを均一にさせるツールです。『音量を調節したから必要ないのでは?』と思うかもしれませんが、コンプレッサーは強くかけるほど音が太くなっていく性質を持っています。音量だけではなく音質も変わるということです。
コンプレッサーによってかかり具合は変わってきますが、おおよその目安として、
- ATTACK 5
- RATIO 2/1
- RELEASE 200
このあたりの値から設定してスレッショルドをきつくしていくといいと思います。ここから音質が極端に変化しないギリギリのところまでコンプを強くかけて行ってみてください。
ボーカルが前に出てくるのが分かると思います。
ちなみに、慣れてきたら音を均一にするために軽くコンプをかけ、さらに、音質を変えるためにきつめのコンプをかけるという2段仕込みにできるともっと細かく調整ができます。
6.EQでボーカルを際立たせる
ここで始めにローカットをしたEQ(イコライザー)に戻ります。
ローカットした60hz以下以外の部分を少しずつ持ち上げたり、削ったりしてボーカルの音質を整えて行きます。
カラオケ音源にうまく馴染ませつつボーカルが際立ってキレイに聞こえるように処理していきます。
ボーカルのミックスで1番難しいのがこのEQ処理です。
オケの音質や、歌い手の特徴、またEQの特性により、どこを上げたらよくなるといったセオリーがほとんど通用しません。
一般的によく言われるボーカルのEQ処理は
- 男性 200Hz以下を削り、800Hzあたりを少し持ち上げる。
- 女性 100Hz以下を削り、10kHzあたりを少し持ち上げる。
こんな感じで書かれていることが多いです。この値を軸に色々動かしてみてもいいと思います。
僕の個人的におすすめなEQ処理の方法は、思い切り大きく変化させてみることです。極端にカットしたりブーストしたあとで調整していくとうまくいきます!
7.空間系エフェクトで仕上げ
最後に、空間系のエフェクトをかけて終了です。このあたりもエンジニアによってやり方は変わると思うので、参考までに僕がやっていることを紹介しておきます。
リバーブ
リバーブは残響音です。ボーカルの奥行きを出すために使います。かけすぎると音像がどんどんぼやけてしまうので、適度にオケと馴染む程度に使います。
ディレイ
ディレイは山びこ効果を出すエフェクトです。僕はすごく短い間隔で1回だけ返ってくる設定にして使っています。
こうすることでボーカルに厚みが出て輪郭がはっきりするためです。ダブリングに近い使い方です。
コーラス
コーラスは音質がガラッと変わるので、僕の場合は曲によって使ったり使わなかったりしています。
使い方は、僕の場合コーラスの音にするためにわざときつめにかけるか、どうしてもオケと馴染まなかったり、歌が上手くない人が歌った時にごまかすために薄くかけてます。